猫舌の話
熱い食べ物(飲み物)を食べる(飲む)のを苦手とする人(こと)を猫舌という。
何故猫なのだろうか。
確かに猫に熱い物を与えると、どんなに好物でも食べるのに難渋する。人はそれを見て猫同様に熱い物を上手に食べられない人を称して、猫の舌と同様な舌を持った猫舌者、縮めて猫舌と言うことになった。
元来、人間以外の動物は自然界で熱いものを食べることはあり得ないことだが、人間が家畜化した動物の内、犬、猫が人間と同居し、採餌を人間の身近でするようになったことで、人間と同じものを食べる機会が生じ、彼等も熱い餌と遭遇することになった。
しかし、人間は進化の過程で熱い物を上手に食べる術を獲得した。人間の身近で生活しながら、犬や猫は今日まで多くの機会があったにもかかわらず、それを得ることが出来なかった。
何故だろう。極言すれば、進化に伴う直立二足歩行と四足歩行の違いによると考えられる。
歩行法の違いにより頭骨と脊椎骨との取り付き方が変わり、咽頭と口蓋の進化発達の仕方が変化し、両者の構造に違いが現れた。一方でそれが、人間の言語獲得につながり、喋る動作の応用として唇を使っての息を吹くという動作が出来るようになった。
ここで、人間は熱いものを食べようとする時、息を吹きかけて冷ますことが可能になったのである。人間が火を得た時、もし、これが出来なかったら随分困っただろう。
このことから逆に、人間は火を得るまでの間に何らかの言葉を取得し、唇を上手に使えるようになっていたとも考えられる。
言葉を喋べれない犬や猫は唇を使って息を吹きかけることが出来ず、冷ますことが出来ないことから、未だに熱い餌は苦手とするのである。
また、熱い飲み物を啜る動作(吹くの逆)についても人間特有のモノである。特に東洋文化圏に顕著で西欧では苦手とする者が多い。それが今でも紅茶カップとソーサーの関係として残っている。文化の違いによるものと思われる。
西洋人の多くは上手く蕎麦を啜れない(咽せる。液体と空気を上手く分離して飲み込むことが出来ない。)が、日本人はもとより、多くの中国、韓国、東南アジアの人々は上手に啜ることが出来る。最近の日本人の若者で上手に蕎麦が啜れない者が増えている。嘆かわしい。文化の変化か。
閑話休題。熱い物を苦手とするのは猫舌で、犬舌、馬舌、牛舌でも良さそうなのが何故猫なのだろうか。
猫と他のものとの大きな差は、生活環境圏の違いにあるようだ。猫は人間と屋内で同じレベル、犬などは屋外で地上レベルにあるのが普通の状態である。
従って、猫は人間と同レベルで採餌することが増え、与えられた熱い物に閉口する場面を、多くの人間が目にする機会が増えた結果が、猫舌の所以である。犬舌、馬舌、牛舌の語は、その機会が少なかったが故、生まれなかったようである。
器用の話
器用とは指先を巧みに操り物事を上手に為すことを言う。
元来、”器(機)を用いるに巧み”と言うことで、”箸”を上手に使えることを言ったものである。転じて何事によらず上手に出来ることを言うようになった。
器用不器用は天性のもので、生まれながらに備わったものではあるが、後の修練によっても大きく変わってくる。
最近の若者の箸の使い方に器用とは程遠いものが多く見られる。天性のモノとは言え、修練が如何に大切かを痛感する。
左利きを昔は左器用(さぎよう)左の器用と言った。
これが、さぎちょう→さぎっちょ→ぎっちょ、と訛り現在では左利きを”ぎっちょ”と言う。(これを差別語とする向きがありましたらご容赦下さい)
器用不器用は右利き、左利き何れを問わず、指先の動きが事を決している。
指先は脳に直結しているとされていることから大いに使い、脳の老化防止に努めたいものである。
そして世の中器用に生きたい。
Author: 頭九爺仙人
先ずはズウクジ・センニンとお読み下さい。
結構、カッコいいオジさん仙人です。
街で見かけたら声をお掛け下さい。
面白そうな話が聞けるかも。